明日こそは素直に、ありがとうとこれまでのごめんなさいを伝えて、笑って過ごせる楽しい人生を歩んで行きたいから。

 笑顔を褒められたのが少し擽ったい気持ちになった私は、真面目に取り組みたいのになぜかまともに瞳が見れなくなった。

 ふいと視線を逸らして、呟くように挨拶を言っていると、バルの顔がすぐそこに迫っていた。


「しっかりと俺の目を見ろ。じゃないと、挨拶の練習にならないし、それに俺がリサリルの綺麗な瞳を見られないだろう?」


 綺麗とか素敵だとか言われて慣れてない私にとって、照れるだけでは収まらない。

 心臓がいつも以上に早く動いて、体が少しずつ熱くなる。

 狼狽える理由もないはずなのに、どうしてこんなドキドキするんだろう……。

 元彼が居たとは言えども、優しくされていたことも少なかったから?で、でも相手はかっこ可愛いバルで……!


「どうした?顔が赤いようだが」


 近づいて来た距離が更にもっと近づいてきて、輝く黄金色の瞳が私を映し出すと、そのまま鼻先が触れあった。