「ち、違いますっ!」
ブラン様の横に駆け寄った。
近くに寄れば、昨日抱えられた時と同じ彼の香りを感じて、それだけで溢れる想いに潰されそうになる。
「じゃあ、何だ? 本気だというのもおかしな話だろ。『一目惚れしました』ってか? はっはっは、若いっていうのはいいねえ」
まるで私など相手にしないかのように、ブラン様は垂れた前髪を片手でおおきく搔き上げ笑った。
「一目惚れなんかじゃ……」
言いかけて、言葉に詰まった。
何年も、何年もブラン様が好きだった。けれど、それは前世の私だ。
前世でもずっと好きでした、だなんて、現実主義者の彼はまず信じない。
悔しい気持ちと好きな気持ちと、色々な感情が溢れて、我慢していた涙が勝手にこぼれた。
ブラン様は、そんな私の頭に優しく大きな手を置いた。
「ありがとな。でも、お嬢ちゃんは決められた相手がいるだろう。叶わない恋は、するもんじゃないさ」
その言葉が、胸に響く。
本当は私はレオンとは結ばれないと、訴えられたらいいのに。
そんなことを言っても、彼はきっとまた笑うだけだ。
扉の向こうから、笑い声と足音が聞こえて、ブラン様は私の頭から手を離した。
その瞬間、扉がガラリと開いた。
レオンが、ガブリエル王子と談笑しながら歩いてくる。
レオンが私に気づいてこちらに駆け寄る。彼の方をちらりと見てしまったのは、失敗だった。
「エレーナ? どうして泣いているんだい?」
レオンが心配そうに、私の顔を覗き込んだ。
ブラン様の横に駆け寄った。
近くに寄れば、昨日抱えられた時と同じ彼の香りを感じて、それだけで溢れる想いに潰されそうになる。
「じゃあ、何だ? 本気だというのもおかしな話だろ。『一目惚れしました』ってか? はっはっは、若いっていうのはいいねえ」
まるで私など相手にしないかのように、ブラン様は垂れた前髪を片手でおおきく搔き上げ笑った。
「一目惚れなんかじゃ……」
言いかけて、言葉に詰まった。
何年も、何年もブラン様が好きだった。けれど、それは前世の私だ。
前世でもずっと好きでした、だなんて、現実主義者の彼はまず信じない。
悔しい気持ちと好きな気持ちと、色々な感情が溢れて、我慢していた涙が勝手にこぼれた。
ブラン様は、そんな私の頭に優しく大きな手を置いた。
「ありがとな。でも、お嬢ちゃんは決められた相手がいるだろう。叶わない恋は、するもんじゃないさ」
その言葉が、胸に響く。
本当は私はレオンとは結ばれないと、訴えられたらいいのに。
そんなことを言っても、彼はきっとまた笑うだけだ。
扉の向こうから、笑い声と足音が聞こえて、ブラン様は私の頭から手を離した。
その瞬間、扉がガラリと開いた。
レオンが、ガブリエル王子と談笑しながら歩いてくる。
レオンが私に気づいてこちらに駆け寄る。彼の方をちらりと見てしまったのは、失敗だった。
「エレーナ? どうして泣いているんだい?」
レオンが心配そうに、私の顔を覗き込んだ。