「え…これ…え…」

葉月の誕生日で、ラッキーナンバーでもある「8」の形に(かたど)られたクッキーに、花とハチがデコレーションされている。小学生の侑輔が作ったものよりも数段繊細に作られている。

「すごいキレイ…」

(嬉しい…けど…)

「なんで…?」

「え?」

「なんでこんなのくれるの…?」

「なんでって?」
羽生は不思議そうな表情(かお)をする

「だってこんな…さっきのお酒のことだって…」


「こんなことされたら、私…勘違いしちゃうよ…」

「勘違い?」

「……羽生くんが…」

「荻田のこと好きだって?」
羽生が笑って言った。

———コク…
葉月は恥ずかしそうに(うなず)いた。

「勘違いじゃないけど?」

「……え…」
羽生の言葉がうまく理解できない。
「え、だって…」「え」「羽生くん…」

「俺、荻田のこと好きだよ。」

葉月の鼓動がさらに早くなり、頬が赤くなる。耳は熱い。

「……うそ…」
「なんでだよ。」
羽生が苦笑いする。