「ごちそうさまでした。食器洗うよ。」

パスタを食べ終わると、葉月は皿を運ぼうとした。
「いや、大丈夫。置いといて。」
「俺が洗う〜!」
侑輔が葉月と羽生の皿を下げ、流し台に持って行った。
「そこまで仕事って教えてる。」
「偉すぎる…」
葉月は感心した。
「あ、お金…」
「それも大丈夫。あくまで侑輔の練習だから。感想が代金。」


「良かった。腫れたりはしてないな。」
羽生に至近距離で顔を見られて、葉月は思わずドキッとした。

「荻田この後どうすんの?」
「え」
「俺、今日はランチまでで仕事終わってヒマなんだけど。メガネでも買いに行く?」
「え…!」
(なんかそれって、デートみたい…私、さっき彼氏と揉めたばっかりなんだけど…)
「なんか用事ある?」
「え、な、ない…」
「じゃあ決まり。」
「俺も行きたい!」
「侑輔は宿題いっぱいあるんだろ?」
そう言われて、侑輔はしぶしぶ諦めた。

「あ!葉月ちゃん!」
「え?何?」
「俺の料理は世界一うまいけど、晃一の料理は宇宙一うまいよ。」

「なんの話だよ。父さんが聞いたら泣くよ。」
羽生は苦笑いした。

「じゃ、行こっか。」
「う、うん…」