——— 荻田がやりたいバイトをやりたいようにやった方がいいと思うけど
羽生に言われたことに腹が立つ理由はわかっていた。
(羽生くんはいつも自分の意思に真っ直ぐで、正しい。)
そうなれない自分を知っているだけに、指摘されれば腹が立つ。
——— 責任感強めで、流れと相手に合わせちゃうタイプ…か
羽生に言われた言葉が過ぎる。
(……責任感ていうか…不機嫌になられたりするのが嫌なの…)
バイトの求人サイトをどんなに見ても希望のバイトがみつからないことにだんだんと虚しさを覚え始めた。
「バイトするの、やめる。」
葉月は翔馬に伝えた。
「べつに今すぐ始めなくてもいいし、もう少し考えてから始めようかなって。」
「お金に困ってないなら、葉月はバイトしなくてもいいと思うよ。」
翔馬はどこか嬉しそうだ。
「じゃあ葉月、時間あるよね?」
「え?」
「旅行行かない?一泊で。」
「え…」
「来月あたり、近場でのんびりしようよ。金は俺が出すからさ。」
「近場でのんびり…」
「嫌?」
葉月のテンションが上がらないことに、翔馬は不満そうな顔をする。
「…嫌じゃないけど…来月はテストが…」
「テスト終わってからでいいからさ。行こ?」
「う、うん…」
葉月はニコッと笑った。感情の追いつかない愛想笑いだった。
羽生に言われたことに腹が立つ理由はわかっていた。
(羽生くんはいつも自分の意思に真っ直ぐで、正しい。)
そうなれない自分を知っているだけに、指摘されれば腹が立つ。
——— 責任感強めで、流れと相手に合わせちゃうタイプ…か
羽生に言われた言葉が過ぎる。
(……責任感ていうか…不機嫌になられたりするのが嫌なの…)
バイトの求人サイトをどんなに見ても希望のバイトがみつからないことにだんだんと虚しさを覚え始めた。
「バイトするの、やめる。」
葉月は翔馬に伝えた。
「べつに今すぐ始めなくてもいいし、もう少し考えてから始めようかなって。」
「お金に困ってないなら、葉月はバイトしなくてもいいと思うよ。」
翔馬はどこか嬉しそうだ。
「じゃあ葉月、時間あるよね?」
「え?」
「旅行行かない?一泊で。」
「え…」
「来月あたり、近場でのんびりしようよ。金は俺が出すからさ。」
「近場でのんびり…」
「嫌?」
葉月のテンションが上がらないことに、翔馬は不満そうな顔をする。
「…嫌じゃないけど…来月はテストが…」
「テスト終わってからでいいからさ。行こ?」
「う、うん…」
葉月はニコッと笑った。感情の追いつかない愛想笑いだった。