「え……じゃあ、自分の水は?」


聞くと、声宮くんは穏やかな顔から一変。ニヤリと笑って、私に顔を近づけた。そして、


「なんで一本だけしか買わなかったと思う?」


なんて、その答えを私にせがむ。

もちろん、勘の悪い私は、声宮くんの言葉がどういう意味か分からなくて、頭の上に疑問符を浮かべた。

それを見た声宮くんは「やっぱお花畑だな」なんて言って……私の手から、飲みかけの水を取った。


「こうするために一本しか買わなかったんだっての」


そう言って、ゴクリと水を飲む。私が飲んだお水を、一切のためらいもなく。飲み口に、自分の口をつけて――


「え!ちょ、待って!それは!」