「えと、あの…………うん、ありがとう」


こういう時は、甘えたら……いいんだよね?申し訳ない気持ち半分、そして……嬉しい気持ちが半分以上。


「ちょうど喉乾いてたの。嬉しい、ありがとう」

「ん」


お礼を言った私の顔を、声宮くんは優しい顔をして見た。いつもの吊り上がった目じゃない。穏やかな目と、それに似合う穏やかな顔。

ホームの椅子に座る私の目の前に立って、私が水を飲むのを、満足そうに見ている。


「(さっきは勝手にどこに行くのって思ってたけど、私のためにジュースを買いに行ってくれてたんだね)」


ゴクゴク――冷たい水が、心地よく喉を通っていく。干からびた砂漠に水をあげてるような感じ。体中が「もっともっと」って水を欲しているのが分かる。

ん?そう言えば、声宮くんのは?自分の水は持ってないみたいだけど……。


「声宮くんは?喉、乾いてないの?」

「あ?乾いてるに決まってんだろ」