スタッフさんの声がした時。声宮くんは、私と繋がっている手をパッと離す。え、このタイミングで離すの!?

なんで!?と言いたげな私の顔を見て、声宮くんはいつもの意地悪い顔でニヤッと笑う。

そして自分の手を、私の顔の前でブラブラ揺らしながら「繋ぎたくねーんだよな?」と私を挑発した。


「~! つ、」


繋ぎたくありません!!


――そんなこんなで、お化け屋敷に入ったはいいものの……。

中は、まさに阿鼻叫喚。ヒュ~ドロドロ……というバックミュージックの他に、誰かの足音も常に聞こえてくる。


「こ、こここ、ここわ、わ……っ」

「おい、何やってんだよ。早く先に進むぞ」


真っ暗な中、私たちが進む道の端に、僅かな灯りが置いてあるだけ。

ここで声宮くんとはぐれたら、私……一歩も動けないと思う。こんな真っ暗な中、一人きりなんて絶対にイヤ!


「こ、声宮くん……!」

「ん~?」