大丈夫か?とか、ちゃんとついてきてるか?とか。そんな確認をするために、たまには後ろを振り返ってくれてもいいじゃん。


「(まぁしょせん、勝負のためだけのデート、だもんね)」


歌沢くんと勝負するための、形だけのデート。いくらときめく事を言われても、中身はこんなもんだよね。

声宮くんの気まぐれな優しさの一割を、さっき何度も見ちゃったから……声宮くんに幻想を抱いちゃった。しっかりして私……!

声宮くんは、意地悪が9割!もう忘れない!

私が自分に喝を入れ直した、その時。声宮くんが「お」と顔を上げる。彼の視線を追って、私も顔を上げるのだけど……


「よし、着いたぞ。ここに入る」

「こ、ここここって…………!!」


目の前に広がるアトラクション。それは――


「入場者の後ろを、全速力で追いかけてくる事で有名なお化け屋敷だ!」