「まーまー、ついてくりゃ分かるって」


今度は強引に手を握ろうとしなかった声宮くん。手を繋がないまま、声宮くんが前、私が後ろと、二人は縦に並んで歩く。

遊園地の中は混雑していて、何度も人に当たってしまう。ドンと、肩が思い切りぶつかって、思わず顔が歪んでしまった。今のは……ちょっと痛かったなぁ。

私の前を歩く、声宮くんの背中を見る。私が人にもみくちゃにされているとは知らず、涼しい顔をして歩いている。

っていうか、声宮くんがカッコ良いから、まるでパレードみたいに、声宮くんが行く道を皆が率先して開けていた。イケメンっていいなぁ。色々お得だ……。


「(ってか、デートっていうなら、少しは私の事を気にしてくれてもいいじゃん……)」