......あぁ、だめだ。

話がかみ合わない、言いたいことが通じない。




「でも、行けないのは困るから——」

「ぐごっ...」




瞬間、一番近くで戦っていた男の人二人が吹っ飛んだ。

二人は後ろに飛び、またその男の近くで戦っていた人をなぎ倒していく。

......はて?

何が起こった。

たった一度の、野坂先輩の蹴りだけで、喧嘩していた人の大半が全滅。




「お前ぇぇ......野坂(のざか)(つかさ)!!」

「あ、知ってるんだ。そうです、野坂司ですー」




あわわわと口を動かした。

煽ってる......煽りまくってます、野坂先輩......!

野坂先輩は食って掛かってくる人を躊躇なく倒していく。

強い......。




「う、わっ......」




吹っ飛んできた、男の人。

よけられるけど、よけたら、怪しまられる......っ。




「洲守夜亞ちゃんっ!」

「へぅっ......」




なぜにフルネーム、と言いそうになる。

代わりによくわからない声が出た。

手を引っ張られる。

少しして、抱き寄せられた、と気づく。