「私も、ローリー殿下と同じです」

「本当か!?」

「ですが、私は……ローリー殿下に相応しくありませんから」

「そんなことない!シエナは、シエナは俺にとって特別な女性なんだ……!」


ローリーは感極まってシエナを抱きしめた。
恥ずかしそうに頬を真っ赤に染めるシエナを見て、すぐに手を離す。
今まで何があっても冷静に対処していた自分がこんなにも心揺れ動かされる存在に出会えたことに感謝していた。

学園ではシエナとの仲も深めながら裏で動いていた。
ライボルトを含めて他の令息達もシエナの側にいることを選んだ。

(卒業パーティー辺りで、マティルダの罪を暴露しよう。そのためには何ができるだろうか。まずはシエナをあの女の脅威から守りつつ、証拠を掴んでいかなければ……)

そう思っていたが、シエナからある相談をうける。


「私……暫く学園を休もうかと思っているんです」

「シエナ、それは一体どういうことだ?」

「ローリー殿下に迷惑をかけたくないんですし、それに……ううん、なんでもありません」

「待ってくれ、シエナ……!」