そして『マティルダがそんなことをするはずない』との一点張りだった。
周囲に聞いてみると、マティルダは最近、ガルボルグ公爵やライボルトの代わりに毎日城に通っては城下町に電気を送り、この街に必要な全てを賄っているらしい。

(だからこそ余裕の顔ができるのか。父上と母上は頼りにならない。俺たちでなんとかしなければ)

加害者であるマティルダが学園で伸び伸びと暮らして、被害者であるシエナが泣いて暮らすことが許せなかった。

そして自分がシエナに恋心を抱いていることを自覚していた。
できるならば愛していないマティルダよりも、自分が愛することができるシエナと結婚したい。
そう思うのは自然なことだろう。
そして、そのチャンスが巡ってきたのだと思った。

(シエナと添い遂げたい……!光魔法は国にとって役に立つはずだ)

ローリーの意思は固かった。
次の日、シエナの意思を確認するために学園で彼女を呼び出した。


「俺はシエナが気になって仕方がない。今まで色褪せていた世界が光に照らされるようにして明るくなった。こんな気持ちになったのは初めてなんだ」

「……ローリー殿下」

「シエナは俺のことを……どう思っている?」

「…………」

「シエナ、お願いだ。教えてくれ」