「一体、何が目的だ!?これ以上、何を望む!やはりガルボルグ公爵の当主の座を狙っていたのか!?」

「多少ならばお前の願いを叶えてやるっ!今ならば愛してやってもいいと言っているんだぞ!?何が気に入らないんだ!」


必死に叫ぶライボルトとローリーの言葉に鳥肌がたった腕を擦った。
言葉も通じないとなればどうしようもない。
しかし、マティルダは従うつもりはない。


「わたくしは戻りません」

「力尽くでも連れ戻す……!」

「いつでもどうぞ。連れ戻せるものならば」


スッと腕を出したマティルダを見て、三人も戦闘体制に入る。
しかし全く負ける気がしなかった。
ローリーは大きな波を起こした後で大した力は残っていない。
シエナは光の玉を浮かべる程度で、ライボルトもいくら魔法の力を高めたとしても、たった一ヶ月でマティルダに追いつくことなど不可能だろう。

(わたくしがこの三人に連れ去られるなんてありえないわ)

マティルダは魔力を集中させていた。
バチバチと金色の線が周囲で弾けているのを見ながら最後の忠告をする。


「大人しく国に帰ったほうが身のためですよ?わたくしは忠告しましたからね」

「……クソッ!ライボルト、構えろ!」

「なんだこの力は……っ!本当にこれがマティルダの力なのか!?」