「どうして!?あなたは学園でもマティルダとしての生活を楽しんでいたでしょう?なのになんで嫌がるのかしら……。学園の奴らも私じゃなくてあなたを選ぶなんて見る目なさすぎて、もういらないもの」

「…………」

「私は特別なんだから……っ!きっとベンジャミン様に守ってもらえたら処刑だってなくなるわ!あんな奴等の飼い犬になるなんて嫌ッ!絶対に耐えられないわ。私にはもうベンジャミン様しかいないのよ……!」


これ以上、シエナに何を言っても無駄だと思ったマティルダは溜息を吐いて口を閉じた。
何よりベンジャミンの意志を無視して、勝手に自分が選ばれると思っているシエナに対して腹が立って仕方なかった。
そんな時、我慢できなかったのかライボルトが前に出る。


「お前を連れて行けば俺は公爵家に戻れる……!戻れるんだっ」

「……ライボルトお兄様」

「父上に俺は悪くないと説明しろ!お前から言えばそれで済む話なんだっ!今すぐブルカリック王国に帰るぞ……!」


荒く息を吐き出しながらマティルダに命令するライボルトを冷めた目で見ていた。
あれだけマティルダを追い出そうとしていたライボルトもシエナと同じように自分の身を案じているだけでマティルダのことなど、どうでもいいのだろう。