その相手はちょっぴりヤンデレな最強魔法使いである。
マティルダは苦笑いを浮かべつつも手を繋ぎながら屋敷へと帰った。
荷物を整理しながらベンジャミンにプレゼントを渡すタイミングを見計らっていたが、なかなか渡せずに夜になってしまう。
いつもベンジャミンはマティルダにプレゼントをたくさんくれるが、マティルダから渡すのは初めてのことだった。
(好きな人にプレゼントを渡す時って、こんなにドキドキするのね……!ベンジャミン様なら、なんでも喜んで受け取ってくれそうだけど、とても緊張するわ)
ソワソワした気持ちで夕食を食べていると、ベンジャミンは急に立ち上がり窓の外をじっと見つめたまま動かなくなってしまった。
「…………」
「ベンジャミン様、どうかされましたか?」
「……何か変だ」
「変……?」
そう言われてもマティルダにはいつもと変わらないように見える。
「ブルカリック王国近くの波が荒くなっている。天気はいいのに。何故だろう……?」
「波……?ブルカリック王国の近くの海ですか!?」