そう言ったベンジャミンはまるで何かを補給するようにマティルダを暫く抱きしめて、そのまま動かなくなってしまった。
(ベンジャミン様って、愛が重いタイプなのかしら……)
今更気づいたマティルダは顎に手を当てて考えていた。
恋愛経験に乏しいマティルダは「わからないからいっか!」と、結局考えることを放棄してしまうのである。
(けど、愛されるのはいいことよね!)
マティルダはポジティブに考えることにした。
ベンジャミンの背を叩いてマティルダは話題を変えるためににっこりと微笑んだ。
このまま買いたいものを買えずに森に戻るのはごめんである。
「ベンジャミン様、気分を変えて次の店に行きましょう!」
『…………』
「まだまだ買い物がありますから……!」
マティルダの声に小さく頷いたベンジャミンの手を引いて急いで店を回っていき、買い物を終えることができた。
あの後、ベンジャミンがやきもちを妬くことはなく、本人も不思議がっていた。
思ったよりも大量の買い物をしてしまい、どうやって運ぼうかと悩んでいるとベンジャミンは箱を飛ばして先に家に届けるらしい。
魔法はとても便利なのでベンジャミンのようにほとんどの魔法属性を使えるようになったらどれだけ楽しいのだろうと思いつつ、空を飛んでいく箱達を眺めていた。