(これは、噂のやきもちという奴ではないかしら……!)

やきもちを妬かれたことに感動していたマティルダだったが、ここは道の真ん中である。
ベンジャミンの気持ちは嬉しいが、このまま目立ってしまうのはよくないような気がしていた。
マティルダは彼を諭すように声を上げた。


「わたくしは、ベンジャミン様しか見ておりませんから!」

『マティルダ……』

「それに一緒に買い物できてとても楽しいです。ここに連れてきてくださってありがとうございます」


マティルダの明るい言葉を聞いてかベンジャミンは顔を上げた。
固くなっていた雰囲気が少しだけ元に戻ったような気がした。


「後でゆっくり話しましょう。ベンジャミン様の気持ちを聞かせてください」

『僕の……気持ち?』


とりあえずマティルダはベンジャミンの気持ちを聞いて、これから、人と話すだけでやきもちを妬かないように改善していこうと思っていた。
再び屋敷の外に行くのを制止されたり、ベンジャミン以外の人と話すのを禁止されてしまっては堪らない。


「はい。例えば先程はどんな気持ちになったかとか、どう思ったのかがわかれば……」

『……店ごと吹き飛ばそうかと思った』

「!?!?!?」

『やっぱり僕以外、マティルダに触れるのは許せない』