(それだけは絶対に嫌。わたくしはあの場所でベンジャミン様と一緒に暮らしたい。この件が落ち着くまで暫くブルカリック王国には行かない方がいいわね)

そんな決意を胸にレストランをあとにして目的の宝石店へとベンジャミンを誘導することに成功した。
ベンジャミンには椅子に座って待っていてもらい、宝石店にいる男性店員に声を掛けて「内密に」と告げて宝石を査定してもらう。
その間、ベンジャミンにプレゼントしたいもの自分が欲しいものを選んでいるフリをしながら見ていた。
しかしベンジャミンは男性店員をずっと視線で追いかけている。

(これこれ!ベンジャミン様に似合いそうだとずっと思っていたの。まだあってよかったわ)

マティルダはお目当ての懐中時計を見つけて喜んでいた。

ベンジャミンはここでもマティルダにプレゼントする気満々なのか度々「いいものはあった?なんでも選んでいいよ」と声を掛けてくれる。
ショーケースを見てまわりつつも、店員が戻ってくるのをソワソワしながら待っていると、ベンジャミンは立ち上がるとマティルダの側に顔を寄せて宝石やアクセサリーを見ている。