『そうなのよ!でも力を使いすぎて死にかけてるから、思いきりやっちゃって頂戴』

「わかった」


トニトルスの言葉にベンジャミンが頷くと、窓の側の木枠にイグニスと呼ばれた赤い鳥を置いた。
そしてパチンッと指を鳴らした瞬間に赤い鳥が燃え上がるのを見て、マティルダは悲鳴を上げた。


「──きゃあああ!焼けちゃいますっ!ベンジャミン様、やめてくださいっ」

「なんで?」

「だ、だって……!このままだと焼き鳥に!」

「ヤキトリ?」

「とにかく、今すぐに手を止めてくださいっ」


マティルダはベンジャミンの腕を押さえてみたものの、火は轟々と燃えている。
慌てて手を出して鳥を救おうとするものの、何故かトニトルスに嘴で思いきり突かれて制止されてしまう。


「痛っ、何をするの!このままだとこの鳥が焼け死んじゃうわ」

『何言ってるのよ。大丈夫に決まってるでしょう?』

「でも、でもっ……!」


マティルダがベンジャミンを助けを求めるように視線を送ると、彼は何故かキョトンとして首を傾げている。

(わたくしがなんとかしないと……!)

そう思い、再び炎の中に手を突っ込もうとするとトニトルスがマティルダの前に出る。


『アタシもお腹空いたわ。マティルダ、早く電気を頂戴よ』