「トニトルスってば、一体どこに行っていたの?」

『マティルダ、話は後にして!先にコイツを手当てしたいの!ベンジャミンはいる!?』

「この鳥は……?」

『アタシがずっと探していた馬鹿野郎よ!やっとこの世界に戻ってきたと思ったら、力なく倒れているんですもの……!心配はないでしょうけど、一応早く回復するように炎に焚べてあげて。ベンジャミンに伝えてくれる?』

「???」


トニトルスがなんのことを言っているのか、よく理解できなかった。
手のひらに乗っている小さな赤い鳥を火に焚べたら焼き鳥になってしまうのでは、ということで頭がいっぱいになっていたところでタイミングよくベンジャミンが現れる。
マティルダの背後から抱きしめるようにして擦り寄るベンジャミンの端正な顔にも大分慣れたような気がする。


「ベンジャミン様……!」


最初はマティルダにあった視線がトニトルスの方へ向いた。
そしてベンジャミンは僅かに目を見張った後に声を上げた。


「トニトルス、やっとイグニスを見つけたんだね」