「……ありがとう」


ずっと一緒に過ごしてきたけれど、どこか遠くに感じていた距離がやっと近づいたような気がした。

ベンジャミンは自分の髪にある花を一本取ると茎を丸めて指輪のような形を作る。
そしてマティルダの左手の薬指に花の指輪を通した。
ベンジャミンの瞳の色と同じ紫色の花が綺麗に咲いている。


「……綺麗」

「マティルダ」

「はい、なんでしょうか」

「君を一生、大切にする……だからずっと一緒にいてください」


花の指輪を見ていたマティルダはその言葉にゆっくりと顔を上げた。
驚きと、戸惑いと、恥ずかしさ、色々な感情が混ざって上手くは言えなかったが、やっと一歩踏み出せた……そんな感覚だった。


「はい!こちらこそよろしくお願いします。ベンジャミン様」


ベンジャミンの言葉に笑顔で頷いた。
マティルダのベンジャミンの髪にある黄色とオレンジが混ざった花を取り、指輪の形に作りベンジャミンの左手の薬指に入れた。
並べてみると偶然にも同じ花の色違いだということに気づく。


「マティルダが選んでくれた花も綺麗だね」

「ふふっ、なんだか恥ずかしいです」

「本物の夫婦みたい」

「そうですね」