「そのハーフグローブは……?」

「師匠からもらったんだ。普段から力を制御できるようにするために」

「これは力を制御するためのものだったんですか?わたくしはてっきり潔癖症なのかと……」

「うん。僕は人よりも力が強いから、すぐに壊してしまわないように……。これをつけていればコントロールできるようになるからって。今思えばおまじないのようなものだと思う」

「……そうなのですね」

「それに大切なものは壊さないように、傷つけてしまわないように宝箱に入れて、出しちゃいけないって教わったんだ。マティルダは僕の〝宝物〟だから……」


ベンジャミンはそう言って、マティルダに手を伸ばした。
そっとマティルダの金色の髪を優しく撫でた。


「今は魔力をコントロールできるようになったけど昔は……師匠に怒られてばかりいた」

「師匠……?」

「魔族だって言ってた。この森に捨てられていた僕を拾って育ててくれた人だ」

「……え?」

「僕は親の顔を知らないけれど師匠が親代わりになって生活するための知恵を授けてくれた。その時にたくさんの魔法や人間のことを教わったんだ」


ベンジャミンが初めて話してくれる過去の話にマティルダは静かに耳を傾けていた。