マティルダは身を乗り出しながら自信満々で答えた。
ベンジャミンは顎に手を当てて考え込む素振りを見せた後に頷いた。


「わかった。僕と一緒ならいいよ」

「やったぁーっ!」


マティルダが体を起こしてぴょんぴょんと跳ねていると、ベンジャミンは複雑そうな表情でその姿を見ていた。


「ベンジャミン様、まずはわたくし庭に出たいですわ」

「え……?庭って、塔のすぐ下?」

「えぇ!早く行きましょう」

「あ、うん……」


ベンジャミンにマティルダは〝抱えて?〟と言わんばかりにキラキラした瞳で手を伸ばして待っていた。
フッと息を漏らした後に笑みを浮かべたベンジャミンはマティルダを抱あげる。

そして、いつもベンジャミンが外に出る時に使っている窓から一カ月振りに外に出る。
ブワッと強い風と空の上に浮いているような感覚にマティルダはワクワクする胸を押さえていた。
まるで見えない階段を下っていくようにベンジャミンに抱えられながら地面に向かって降りていく。

早く走り回りたくてソワソワしていたが、ベンジャミンがゆっくりとマティルダを地に降ろす。
足をついた瞬間にマティルダは興奮してクルクルと回りながら喜びを表現していた。
躓いてその場に転んでしまいそうになるのをベンジャミンが支えてくれたようだ。