まさかベンジャミンがこんな風に思い悩んでいるとは思わずに驚いていた。
トニトルスの言う通り、やはり本人に聞いて見なければわからないこともあるようだ。
それにもう一緒に暮らし始めて一カ月以上も経っている。

(今更……?わたくし、ブルカリック王国に帰りたいと言ったことあったかしら?ないわよね)

首を捻るマティルダとは違い、ベンジャミンは再び落ち込んでいるように見える。
マティルダはベンジャミンに寄り添うようにして答えた。


「先程も言った通り、わたくしはベンジャミン様とここにいられることが幸せに思っています」

「……!」

「だから心配しなくても大丈夫です」


そう言うとベンジャミンの表情がパッと明るくなったような気がした。
だが彼の言うことをこのまま聞いて、この家の中にずっと閉じこもっていることはマティルダにはできそうにはなかった。

(ベンジャミン様の圧がすごくて、ずっと言えなかったけど今こそ言うのよ……!)

ベンジャミンの気持ちを聞いて、マティルダもこれから二人の関係がよりよくなるためにどうすればいいのかはわかっている。


「ベンジャミン様の気持ちはわかりました」

「……マティルダ」