バチバチと火花のように電気が散っている姿を見送りながら、マティルダは溜息を吐いた。

(やっぱり聞いてみましょう。ベンジャミン様が元気がないのは嫌だもの……!)

トニトリスと入れ違いベンジャミンは帰宅した。


「おかえりなさい。ベンジャミン様」

「ああ……ただいま、マティルダ」

「お茶、飲みますか?」

「いや、今はいらないよ。ありがとう」

「…………」


黒いウサギの仮面と買ってきた食材をテーブルに置いたベンジャミンは椅子に腰掛けて何かを考えながらボーっとしている。
数日前に出かけて珍しく何も持ち帰らずに帰ってきたと思いきやベンジャミンはこんな感じで物思いに耽っている。
心配でベンジャミンを見ていると両手が広がり、ベンジャミンの差し出されている手を掴んだ。
マティルダの存在を確かめるようにベンジャミンは体を強く抱きしめている。


「ベンジャミン様、どうかしたのですか?」

「なんでもないよ」

「でも……」

「マティルダは幸せ?」

「はい、幸せです」

「僕は、マティルダがここにいてくれたらそれでいい……」

「わたくしはここにいますけど」

「うん、知ってる」