僅かな変化ではあるが視線を感じた時は大体、ベンジャミンがマティルダを見ている。
どうしたのかと問いかけてみても「なんでもないよ」と言って、はぐらかされてしまう。

(ベンジャミン様、どうしたんだろう……?)

あまりにも毎日その状態が続いたので、気になったマティルダはベンジャミンがいない間を見計らって、薄紫色のよく喋る鳥、トニトルスと相談しつつ魔力を放出していた。


「なんだか最近、ベンジャミン様の様子が変だと思わない?」

『あら、ベンジャミンはいつだって変よ?今更そのことに気づいたの?』

「そうかな?」

『大丈夫。アンタも十分変よ』

「そういうことを言いたいんじゃないの……!最近、ベンジャミン様が不安そうにしているというか、何かに怒っている感じかしら?出かけることも増えたし……ス、スッ、スキンシップも多くなったような気がするのっ!」


何かを埋めるようにマティルダの存在を確かめると、フラリとどこかに消えて、またマティルダの元に来て抱きしめてと繰り返している。
バチバチと手から電気を放出しているが、トニトルスは気持ちよさそうに美しい羽根を広げている。


『アンタはいつも呑気というか鈍感というか……』

「やっぱりベンジャミン様は何かに悩んでいるのかしら」