確かにライボルトとシエナより、ローリーはマシなのだろうが、とても納得できるようなものではなかった。

しかし無情にも扉が閉まる。
ローリーの伸ばしていた手がダラリと下がった。
真っ暗闇の部屋の中で、絶望感でいっぱいだった。

そんな時、視界に光が現れる。
気のせいかと思い目を擦ったが、やはり暗闇の中にプカプカと丸い光が浮かんでいる。

(この光はなんだ……?)

光は窓から出て行ってしまったが今のローリーにとっては、何故かそれが希望の光に見えた。
ローリーは外に出て光を必死に追いかけた。

そして光が止まり、そこにいたのは真っ黒なローブに身を包んだシエナ……その後ろにはライボルトの姿があった。

ローリーはシエナとライボルトを見た瞬間、怒りが湧いてきた。
あれだけ愛していたはずのシエナも、信頼していたライボルトも憎しみの対象だった。

ローリーは二人の嘘に騙されて全てを失ったのだ。
裏切られて踏み躙られたような気分だった。


「よく俺の前に顔を出せたな……!この裏切り者共めッ!!!」

「…………」

「突き出して今すぐに処刑してやるッ!」


ローブの帽子を取ったシエナはこの場に似つかわしくない笑顔を浮かべていた。