この状況を誰が引き起こしたのか……。
大々的にマティルダに国外追放のパフォーマンスを行ったローリー達は批判の的となった。

そして高位貴族達が王家に不満を示していた。
それはマティルダを慕っていた令嬢達や令息達の仕業だった。
彼らは王家への協力を拒み、更に王家へ批判は高まっていく。
あの日からシエナにもライボルトにも会っていない。

学園に行けば自分がどんな目で見られるか、考えなくてもわかるような気がした。
そんなローリーの代わりにシエナの発言が事実だったのか、学園で調査が入ることになった。
ローリーはソワソワした気持ちで結果を待っていたのだ。

(シエナは間違っていない……!今はシエナだけが俺の心の支えなのだ)

しかしそんな期待もあっさりと裏切られることになる。
父が持ってきた書類には、マティルダがシエナに何かしているのを見た人物もいないそうだ。


「これでもまだシエナが正しいと言えるのか?」

「……っ」

「シエナ・レデュラを今すぐ連れて来い」


頭を鈍器で殴られたような気分だった。
それだけシエナに裏切られたことが信じられなかった。

しかし城に呼ばれたシエナは頑なに「マティルダ様にやられました」という態度を崩さなかった。