そしてガルボルグ公爵は項垂れるライボルトの腕を掴み「期待してますぞ、ローリー殿下」と吐き捨てるように言うと、部屋から去っていった。

父の重たい溜息が聞こえた。


「民はマティルダに何かあったのかと心配している」

「え……?」

「あの男爵令嬢を追いかけ回していたお前なんかよりも、マティルダの方がずっと国民から慕われているということだ」

「そ、そんな……嘘だ」

「状況が見えたのなら、さっさとマティルダを連れ戻してこいッ!連れ戻せなければライボルトと同じ未来が待っていると思えっ!!!」

「は、はい!」

「二部のパーティーは中止だと伝えろ!」


父が執事に指示を出す。

(こんなはずじゃなかった……)

最高の誕生日になるはずが、一転して最悪な誕生日になってしまった。
ローリーは明るくなった部屋の中で、手のひらを握りしめていた。

まさか自分が追い出したマティルダを探さなければならないとは……。

(今すぐマティルダを探し出すしかない……!)

ローリーは騎士団を呼んで、すぐに捜索隊を出すように頼んだ。

(まだそう遠くには行っていないはずだ!絶対に間に合う)