「……ッ」

「おいっ、なんとか言え……!マティルダがベンジャミンと不貞行為を働いていたというのは嘘なのかっ!?」


ローリーは膝をついて項垂れるライボルトの肩を揺すった。
ライボルトは震える体を抱きしめながら小さく震えている。
ローリーは何も答えないライボルトを見ながらを目を見張った。

マティルダの不貞行為は嘘だった…ということが頭を過り、ローリーは首を横に振った。

それにシエナがマティルダに虐められていた証明もできず、マティルダの味方ばかりだ。
シエナが嘘をつくはずがない、信じたいとそう思っていたからだ。


「それにもし仮にベンジャミンとマティルダが恋に落ちこの国にとどまれば、多大な利益になったはずだ。陛下もそれがわからないわけではないでしょう……?」

「ああ、その通りだ。しかしそんな報告は……っ」

「残念ながらベンジャミンにそんな素振りは一切なかった。私もそうなって欲しいと思っていたがな」


ガルボルグ公爵は淡々と語った。
厳しい視線はローリーへと向いている。


「お、俺は……っ」


自分に非は一切ないと思っていたし、マティルダが悪だと思い込んでいた。
先程までは絶対に自分達が正義だと信じ込んでいたが、それが覆りそうになっている事実を認めたくなかった。