「マティルダと私だ。その分、マティルダは力をつけていった。本人も自覚しないうちに強大な力を得た。私よりも大きな力をな」

「嘘だっ!あの女にそんなことがっ……できるはずがない」


ガルボルグ公爵はそう言って力を込めると、ちらほらと町に明かりがついた。
しかし今までとは違い、その明かりは疎だった。


「ここ数年、マティルダに頼りすぎたやもしれぬ。私が力を込めてもこの程度か……」

「……!」


ガルボルグ公爵とライボルトと二人合わせてもマティルダの力には届かない。
その事実にローリーは驚きを隠せなかった。
ライボルトは体を丸めて頭を抱えている。


「これ以上、無能なやつはガルボルグ公爵家にはいらぬ。家を出て好きに生きろ」


ガルボルグ公爵の声は冷たかった。
昔からローリーは厳格なガルボルグ公爵に苦手意識を持っていた。
そして唖然とするローリーの前に立ったガルボルグ公爵の圧に一歩、また一歩と後退していく。


「マティルダに婚約破棄を告げただけではなく、国外に追放したというのは事実ですかな?」

「それには理由が……」