先ずは順番に問題を解決していかなければならない。
両親の反応はローリーの思ったような形ではなかったが、まだまだ挽回の余地はある。
それにシエナとの関係を完全に否定されたわけじゃない。


「シエナ、ライボルトのところまで明かりを頼む」

「…………チッ」

「シエナ……?」

「っ、なんでしょうか?ローリー殿下」

「ライボルトのところに行きたいんだが、明かりを頼んでもいいか?」

「えっ、でも……さっきので魔力がなくなっちゃって」

「嘘だろう!?少し光を浮かべただけだぞ?」

「でも私……長い時間、頑張ったんですよ?」

「シエナ、冗談はやめてくれ!」

「ひどいっ!光魔法のこと何もわかってないくせに!!」

「シエナ!?おいっ、シエナ待ってくれ……っ」

「ローリー殿下なんて知らないっ!」


暗闇の中、手を伸ばしてシエナを引き止めようとするが何も掴めないまま彼女は走り去ってしまった。

(シエナは何を怒っているんだ……?あんな子供が使えるようなレベルの魔法で限界がくるわけないだろう?)

とりあえずシエナを後回しにして、ローリーは仕方なく壁を伝ってライボルトが待機しているであろう部屋へと向かう。
その部屋からは明かりが漏れていた。