そう訴えかけると、父と母は困惑したように目を合わせている。
ローリーは笑みを浮かべた。
シエナの件は置いておいても、マティルダの不貞行為は許されるべきではないからだ。


「わかった。ガルボルグ公爵に確認してみよう」


その言葉にホッと胸を撫で下ろした。


「もしマティルダとあの〝ベンジャミン〟が恋仲になったならば……我が国にとっては願ってもないことだ」

「は…………?」


父の言葉にローリーは耳を疑った。
何を言っているのかが分からなかった。
不貞行為を行うマティルダを責めるどころか容認しているではないか。
王太子である自分よりも優先すべき相手がいるなんて信じられなかった。


「ち、父上……何を言っているのですか!?」

「相手はあのベンジャミンだぞ!?もし我が国に留まってくれるのなら、これ以上のことはない……!まさかマティルダがここまでベンジャミンとの仲を深めているなんて!ガルボルグ公爵は何故そのことを報告しなかった!?まさかベンジャミンと共に王家を謀る気だったのか……?」

「父上……!?」

「今すぐにガルボルグ公爵とライボルトを呼べ!今すぐにだっ」