「い、いえ……違うのです!先に不貞行為をしていたのはマティルダの方なんだ!」

「なに……?」

「ライボルトの話によれば、黒いウサギの仮面をつけた魔法講師と密会を繰り返していたそうだ!こんなこと許されない……!」


ローリーは身振り手振りを交えて身の潔白を訴えかけていた。
それを聞いた父と母は大きく目を見開いている。
これで何かとマティルダの味方ばかりしている二人も、目を覚ますだろう…そう思っていたが、大きなため息が聞こえた後に怒りを滲ませた声が響く。


「それならばガルボルグ公爵から報告は受けている……!ベンジャミンはマティルダの実力を大きく伸ばしてくれたと」

「ベン、ジャミン……?」


初めて聞く名前に首を捻った。
ベンジャミン、それがマティルダの相手の名前なのだろうとすぐに理解することができた。


「ベンジャミンと不貞行為!?ガルボルグ公爵邸で!?まさか、ありえない!あのガルボルグ公爵が許すはずがないではないか……!」

「そんなのはわかりません!これは現に屋敷に住んでいるライボルトからの情報なのですよ!?二人で森に行ったり、出かけたり、普通の魔法講師がここまですると思いますか!?」