「……!?」

「マティルダと婚約関係にありながら、シエナ・レデュラと親密にしていたとな」


父のその言葉に大きく体が跳ねた。
やましいことがあったのだと自分でわかっているからかもしれない。
マティルダが何も言ってこないことをいいことに、学園にいる間は周りを気にせずにシエナと共にいた。
『ローリー殿下はマティルダ様を放置して見向きもせずにシエナ様とばかりいた』
そう書かれている書類を見て、裏切られたような気分だった。


「それにそのドレス……どう言い訳するのだ」

「え……?」

「マティルダはお前のエスコートなく一人で扉から入り、お前はわざわざオーダーで作ったドレスをその令嬢に着せて、自分の誕生日パーティーで手を組みながら長い時間、共に過ごしていたそうではないか!マティルダと婚約関係にあるにも関わらず、それを会場にいる皆が目撃しているんだぞっ!?」


父の怒号にローリーは呆然としていた。
こうして自分の行動を言葉として聞くと、悪いのはどちらなのか……。
皆に自分がどう見えていたのかを知り、全身から嫌な汗が吹き出していく。