「シ、シエナ……どうなんだ?」

「隠れてやられていたので……それに皆さん、マティルダ様の味方ですもん」


シエナの言葉に納得したローリーは「マティルダに脅されているのです!」と声を上げた。


「この数時間で、マティルダの処遇に納得できないと不満を抱き、抗議文が大量に集まっておる」

「抗議文!?まさかそんな……!」

「──何ですって!?」


隣にいるシエナが大声をあげたことに驚いている間もなく、父は数十枚の紙をテーブルに置いた。
ローリーは紙を手に取ると、そこに書いてある内容に目を疑った。
次の紙にもその次の紙にも同じように今回の件はマティルダに非はないという内容が書かれていた。
それは先程まで、パーティーに参加していた令嬢やその婚約者、そしてマティルダを慕う令息達だということがわかる。

(あ、ありえない……!)


「マティルダは皆を庇い、一人ででっち上げの罪を背負い扉から出て行ったと書いてある!」

「そんなはずは……」

「これを覆す証明はできるのかと聞いているのだ」

「なっ……!」

「それとここにも書いてあるが、不貞行為を行っていたのはお前の方だと皆が証言している」