しかしまだ癒し魔法を使えなくても、何にでも一生懸命なシエナならば、厳しい訓練も乗り越えて国のために役に立ってくれるだろうと思っていた。

(……国にとってシエナの力は大いに役に立つ。父上と母上も納得してくれるはずだ)

美しい光をシエナと肩を寄せて見つめていた。
自分達の未来もこの光のように輝いてくれる……そう思っていた。

そんな時、乱暴な足音が聞こえてきて二人で何事かと立ち上がった時だった。
勢いよく扉が開いたことに肩を揺らした。
慌てた様子で部屋に入ってきたのはローリーの父と母、ブルカリック王国の国王と王妃だった。


「父上、母上、お知らせしたいことが……!」

「──ローリー、これはどういうことか説明しろ!」

「え……?」

「マティルダを国外追放したなんて、そんなの嘘よね!?嘘だと言って頂戴ッ!」


そこまで伝わっているのなら話が早いと、ローリーは「そうです」と言って頷いて、マティルダを追放した経緯を話そうとした時だった。
突然、胸ぐらを掴まれたローリーは何事かと声を上げた。


「父上、何をするんです!?」

「自分が何をしたかわかっているのか!?ガルボルグ公爵に何と説明するのだ!?」