数時間の休憩を挟んでから二部がはじまる。
シエナを連れて父と母の元へと向かう途中に、いつもと違う景色に気づく。
立ち止まって辺りを見渡してみるが辺りは薄暗く、不気味に思えた。


「なにか、おかしくないか?」

「たしかに。いつもこの時間には城は明るいはずなのに、今日は暗いままですね」

「ああ……」


ローリーは窓の外を見た。
いつもはギラギラと輝いている美しい窓からの景色も今日は黒々として闇に覆われている。

(……なんだ?)

シエナとこの景色を見るのが好きだったが、今日はそれが見えないことが不満だった。


「どうしたのでしょう?あの景色、お気に入りだったのに……」

「シエナは心配することはない。あとでどうにかする」

「よかった!城から見るキラキラの景色、素敵ですもの!」

「そうだな。シエナの言う通りだ」


廊下を進んでいくたびに暗闇に吸い込まれていくような感覚があった。
部屋に座って温かい紅茶を飲みながら、父と母が部屋に来るのを待っていた。
その間もどんどんと部屋は暗くなっていく。

いつも点灯するはずのライトも今日は動かない。
天井を見上げているとシエナがローリーの肩を指でちょんちょんとつつく。
彼女に視線を向けると、両手から光の球体が現れて部屋を明るく照らしていた。