そう言っても状況は変わることはなかった。
「まさか、こんなことって……」「これから大丈夫なの?」「ガルボルグ公爵がお許しになるはずはないわ」と、不安そうな声で溢れている。

誕生日パーティーというにはあまりにも重々しい空気だったが、ローリーやライボルト達は浮かれていて、そのことに気づくことはなかった。

そして先程こちらを睨んでいた令嬢達はマティルダに魔法を攻撃されていたにも関わらず、マティルダの味方をするように叫んでいる。

「マティルダ様にあんな仕打ちをして……!ローリー殿下にはバチが当たりますわ!」
「こんなことあんまりです。ローリー殿下、ライボルト様には失望いたしました!」
「そんな女に騙されている殿下達が哀れでなりませんわ!」
「この事実を知れば陛下達はがっかりなさるでしょう。わたくしはこのことを父に報告させていただきますから」

吐き捨てるようにして言った後に、婚約者を連れてその場から去って行ってしまった。

二部には国中の貴族が集まる予定で、そこですぐにでもシエナとの婚約を発表したいと思っていた。
シエナにはサプライズのつもりで黙っていた。
レデュラ男爵には報告済みでとても喜んでくれていた。

妙な空気のまま一部は幕を閉じた。