「……え?」
「やっぱり智世里じゃん! 久しぶり」
「……賢太」
目の前にいる男の賢太は、私が最後に付き合っていた人だった。付き合っていたのは三年前だ。
三年前、賢太と私は付き合っていた。別れた理由は、賢太の浮気だ。 賢太が浮気していると分かってから、すぐに別れた。
別れてから賢太とはその後会ってもなかったし、連絡先も消したから連絡も取ってなかった。
なのにまさか、今こんな所で会ってしまうなんて……。もう二度と会うことはないと、そう思ってたのに。
なんで今、会ってしまうのだろう。 よりにもよってこんな時に……。
「元気だった?」
「あ、うん……」
まずい……気まずい。浮気が原因で別れた男と会うなんて、思ってもなかった。
「智世里、その人……彼氏?」
「え……。あ、えっと……」
まだ彼氏ではない。でも私を好きだって言ってくれた人。
そんな私もまた、郁さんのことが好き。だから、告白しようと思ってたのに……。
なんで今、このタイミングで会うかな……。
そんなことを思っていた時だった。
「どうも、智世里の゙彼氏゙の郁です」
「え……?」
郁さんが私の肩を抱いて引き寄せたのだった。