郁さんの笑顔を見ていると、本当に安らぐ。隣にいるだけで安心する。

「あ、そろそろ始まるみたいだよ」

「楽しみですね」 

「ね、楽しみだね」

 郁さんの隣でイルカショーを見ている間、郁さんは私の手をずっと握ってくれていた。



「イルカショー、楽しかったね」

「楽しかったです」

 久しぶりのイルカショーに大満足した私たちは、再び館内を歩くことにした。

「あ、ペンギンがいますね」

「本当だ。ペンギンも可愛いね」

「可愛いです」

 可愛い動物たちに癒やされて、充実した時間を過ごした私たちは、最後にお土産が売ってるショップへと入った。

「わ……これ可愛い」

「本当だ。可愛いね」

 私が見つけたのは、カワウソの小さいぬいぐるみキーホルダーだ。 カワウソが可愛くて、思わず買おうか迷ってしまった。
 その様子を見た郁さんは、そのキーホルダーを手に取り「智世里さん、これ、俺にプレゼントさせてくれない?」と言ったのだった。

「えっ……?」

「今日の記念に、プレゼントさせてほしいんだ」

 え、でも……と思っていると、郁さんが「じゃあプレゼントってことで、これ買ってくるね」とレジへと歩いて行ってしまった。