水族館に行くたびにいつもアザラシやイルカを見てしまうのは、やはり人間の本能なのだろうか。
 可愛いアザラシとか見ると可愛くてしょうがないんだよね。

「ほんとに可愛い〜」

「うん、可愛い」

 そんな私の姿をじっと見つめる郁さんに、私「ん……?」と視線を向ける。

「アザラシも可愛いけど、俺は智世里さんの方が可愛いと思うな」

 かと思ったらそんなことを言ってくるので、思わず私は「えっ……!」と驚いてしまった。

「本当のことだからね?」

「あ……ありがとう、ございます」

 ちょっとなんていうか、嬉しいような恥ずかしいような……!
 急に緊張しちゃう!

「照れてる智世里さんは、本当に可愛いよね」

 頭を撫でられながら私は、顔が赤くなってしまっているのではないかと思っている。

「もう、やめてくださいよ……」

 こんなに恥ずかしくなるとか、私ってば……ずっとときめいてばかりだ。
 こんな気持ちになったのは久しぶりだし、なんかすごく新鮮な気持ちだ。

「俺は智世里さんにしか、本音は言わないよ」

「……え?」

 真剣な眼差しを向けられたら、私はなにも言えなくなりそうになる。

「さ、次行こっか、智世里さん」