郁さんはアイスコーヒーを飲みながら、「絵を書くことなんて、素敵な趣味だね」と褒めてくれる。

「そう、かな」

「うん、素敵だと思うよ俺は」

 絵を書くことを褒めてくれる人はあまりいないけど、褒められると嬉しいものだ。

「……ありがとう、郁さん」

 郁さんは本当に素敵だな……。こんなに素敵な人に出会ったこと、ないかもしれない。

「今度見てみたいな、智世里さんの書いた絵」

 ふとそう言われて思わず「えっ!」となった私に、郁さんは「え?そんなに驚くこと?」と笑ってくる。

「うん。びっくり、した」

「そっか。でも、見てみたいのは本当だよ」

「じゃあ……今度、見せてもいい?」 

 そう聞いた私に、郁さんは「本当に?嬉しいな」と微笑みかける。

「じゃあ、見せてね」

 私はアイスティーを飲みながら「うん」と小さく頷いた。

「智世里さん、スイーツ食べる? ここ、チーズケーキが美味しいらしいよ」

「へぇー。チーズケーキ?」

「うん、俺、チーズケーキ結構好きなんだよね」

 そうなんだ。郁さん、チーズケーキが好きなんだ? なんかちょっと、可愛いかも。

「私も好きです」

「え?」

「チーズケーキ、好きです」