そんな中、楓くんがお母さんに説明してくれた。
「小春さんは、少しずつ俺に話してくれるようになりました。学校では、まだ話すことはできないみたいですが、スマホでのやりとりだったり、手話だったり、他の友達ともコミュニティーションがとれています」
「そうなのね。きっと、あなたのおかげね」
「いえ、俺はなにもしていません。全部、小春さんが頑張っている証拠だと思っています」
楓くんの温かい言葉に、私やお母さんまでも表情を緩ませた。
楓くんはなにもしていないって言ったけれど、私、楓くんからいろんなことを教えてもらった。
コミュニケーションの1つでもある手話だったり、人と接することで相手の優しさを感じたり、人と会話をする楽しさを知った。
楓くんから学ぶことはいっぱいあって、両手使っても数え切れないくらいある。
私、楓くんがいるから頑張れるんだよ。
それに、いつも傍で見守ってくれるからもっと頑張ってみたいとも思うんだよ。