緊張して体がぎこちなくなるけど、なんとか葉山くんに体を向けることができた。
話さなきゃ……!
変に思われてしまう!
この前の英語の授業の時も困らせてしまったから、今日こそは頑張って喋らないと!
不安と焦りから教科書を持つ手に力が入る。
「……」
話そうと頑張ってみるが、声が喉に引っかかってしまう。
どうして、出ないの?
また、みんなから変な目で見られてしまうのに。
話さないなんておかしいって変な印象を与えてしまうのに。
もう1度試してみるが依然として声が出ない。
それどころか、口を開くことすら難しい。
声を聞かれる恐怖、どう思われてしまうかという不安。
また今日もなにもできないまま終わってしまうのだろうか。
話さなきゃいけないと分かっているのに、それをできない自分が悔しい。
思わず落ち込む私に、「あのさ……」と葉山くんが口を開いた。
……なにか言われる。
話さないこと責められるかもしれない。
そう身構えていると、葉山くんの口から発せられたのは思っても見なかった言葉だった。