「てかさ、なんで、葉山くん手話できるの? 普通なら手話なんて知らない人が多いのに」
そういえばそうだ。
楓くんはどうして手話を知っているのか、実は私も気になってた。
「……」
すると、さっきまであった会話のテンポが止まってしまった。
なにか聞かれたらまずいことでもあったのだろうか。
楓くんは浮かない表情を浮かべていた。
「……別に、俺のことなんてどうでもいいだろ」
「どうでもいいなんて……私からすれば、手話できるなんて凄いって思っているのに」
唯花ちゃんの言葉に私もコクコクと頷く。
そうだよ、楓くん。
英語が話せる人を凄いと思うように、手話できる人も凄いと思うんだよ。
だから、どうでもいいなんて言わないで。