私は自分でも驚くほど、家にいる時の私と外にいる時の私では、まるで二重人格かのように雰囲気がガラリと変わる。
別に猫かぶっているわけではないけれど自然とそうなってしまうんだ。
それは、“話せないこと”が大いに関係している。
家ではなんの問題なく話せるのに、外では声が出なくなってしまう。
その症状が出始めたのは、小学1年生の時。
担任の先生から数ヶ月経っても私が学校で一言も話さないことを知った両親は不審に思って、病院へと連れて行った。
そこで、診断された病名。
それは、“場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)”だった。
言葉を話したり理解する能力は正常であるにも関わらず、外に1歩足を踏み入れると、まるで魔法がかかったみたいに声が急に出なくなる。
どんなに頑張って話そうとしても、声が喉にひっかがってしまい話すことができない。
その症状は人それぞれで、私みたいに外に出ると話せなくなってしまう人や仲がいい特定の人だけなら話せる人、話さないといけない場面や場所なら話せる人など当事者によって異なる。
トラウマなどで症状を発する人もいるが、私の場合、なぜ自分が場面緘黙症になったのか原因が分からない。
それに加え、“緘動(かんどう)”といって、緊張のあまり体を思うように動かすことができない。
動作がぎこちなくなってしまったり、石のように体が硬直してしまう。
定期的に隣町の精神病院に通院しているけれど、未だ人前で話すことができない。