そして、またスマホに文字を打つと葉山くんに送信する。
【自分でも話せなくなった原因が分からない。小1の時から今も外で一言も声を発することができない】
葉山くんに知って欲しいことが山程あって、文字を打つ手が止まらない。
【それにね、緘動といって緊張のあまり体が動けなくなるの】
私から次々と送られてくるメッセージを葉山くんは1つ1つじっくり目で追っていた。
【ごめんね。突然こんな話して】
私は、ふと我にかえって彼に謝った。
葉山くんはスマホから顔を上げると私を見た。
「星乃、謝ることなんてない。話してくれてありがとう」
こんなに葉山くんにメッセージを送りつけてしまったというのに、びっくりするぐらい彼はとても優しかった。
葉山くんに伝えて良かったと今はほっとしている。