私の中で葉山くんは信用しても大丈夫な人という見方に変わって、今ではクラスメイトに伝えていない私自身のことを伝えたいとも思う。
【あのね、葉山くん】
「うん? どうした?」
葉山くんにだけ、私の秘密を教えるよ。
家族と一部の先生しか知らないこと。
人に話したところでどう思われるか怖かった。
それ以前に、心を許せる人がいなかった。
でもね、葉山くんには私のこと知ってて欲しいという思いが今は強いんだ。
だから、葉山くんに私の全てを話すよ。
ずっと誰にも理解されず1人で抱えていたこと。
意を決して、メッセージを送った。
【私、場面緘黙症なの】
「場面、かんもく症? 初めて聞いた」
……そりゃそうだよね。
知らない人にとっては初めて聞く言葉で、私も場面緘黙症と診断される前まで、その言葉自体知らなかったし、そういった症状があるなんて思ってもみなかったから。
スマホに文字を打つなり、葉山くんに分かりやすく症状を説明する。
【家では普通に話せるの。でも、外に一歩出ると緊張して声が出なくなってしまう。どんなに頑張って喋ってみようとしても声が喉に引っかかってしまうんだ】
「そっか。それで、星乃は話すことができなかったんだ」
葉山くんの言葉に私は頷いた。